「女版バフェット」から「ニョキニョキ収穫機」まで──木頭姐(ムートー・ジェイ)の物語は、あなたの想像以上に胸に刺さる



みなさん、「木頭姐」を知っていますか?数年前に“神格化”されたウォール街の女性ファンドマネージャーのことです。

2021年の初め、彼女は人生の頂点にいました。590億ドルを運用し、「女版バフェット」と呼ばれ、Redditでは彼女の表情があふれ、個人投資家は目を閉じて彼女のファンドにお金を投げ込んでいました。

でも今はどうでしょう?規模は590億から130億あまりまで落ち込み、下落率は75%。メディアは彼女のことを「一瞬の栄光」と言い換え、ファンは彼女を「逆張りの反面教師」だと罵っています。ここには、ただの「彼女の賭けが外れた」という話だけではありません。

物語の幕開けは熱いものでした。2014年、みんなが量的取引をしたりインデックスファンドを買ったりしていたのに、木頭姐はあえて逆を行き、テスラ、遺伝子編集、ブロックチェーンといった「金を燃やすけど未来を体現する」企業に大きく賭けました。当時は誰も彼女を相手にせず、彼女自身がお金を出して会社を維持していました。

彼女はさらに、とんでもないこともしました。毎日、自分の全保有銘柄を公開し、YouTubeで「なぜ買ったのか」を説明したのです。情報で稼ぐウォール街では、これはほぼ丸裸に等しい行為でした。

結果はどうなったのでしょう?2014年から2020年まで、彼女のファンドの年平均リターンはおよそ39%で、S&P500の3倍以上でした。けれど、その当時は規模が小さく、誰も注目していなかったのです。

本当の転機は2020年でした。3月に米国株が崩壊し、すべてのファンドマネージャーが損切りして逃げ出す中、木頭姐は“封神級”の一手を打ちました。逆風の中でZoomやTeladocといった、パンデミックの恩恵を受ける株を買い増したのです。彼女のロジックは一言です。「ウイルスはテクノロジーを消し去らない。むしろ加速させる。」

彼女は賭けに勝ちました。2020年は通年で152%上昇。個人投資家は狂ったように熱狂し、「彼女の真似をすればいい」と気づき、資金が洪水のように流れ込んできました。そして2021年2月には、規模が590億まで膨らみました。

ただ、“神壇”の保ち時間は短すぎたのです。

2021年2月、ちょうど個人投資家が最高潮で雪崩れ込んできたその日に、葬式の鐘はすでに鳴っていました。美联储(米連邦準備制度)が利上げをするという話が出た瞬間、市場の投資スタイルが一気に切り替わります。木頭姐のあの「いまは損失、将来は利益」「バリュエーションは信仰だ」というタイプの会社が、最も痛いところを打たれました。

Zoomは559から70へ、Teladocは95%以上下落……個人投資家の口座は直撃で半減し、投稿のタイトルは「月へ向かって突き進む」から「自分が破産した」に変わります。解約ラッシュが来て、ファンドは低い位置で株を売らざるを得なくなり、売れば売るほど基準価額は下がる。下がれば下がるほど解約が増える。そんな負の連鎖のループです。

なぜ彼女はあれほど惨敗したのでしょうか?根本原因は「賭けに負けた」ことではありません。VC(ベンチャーキャピタル)のやり方で、セカンダリー(流通市場)の株を売買したからです。

VCのやり方とは何か?それは、まだ勝者が出ていない段階の“業界(セクター)”を丸ごと買い取ることです。遺伝子編集の企業なら、彼女は互いに競合する3社を同時に買います。自動運転なら、テスラとLuminarを一緒に持ちます。VCのロジックはこうです。「100社投資して95社が失敗しても構わない。1社でもAirbnbのような成功を出せば、全体として勝てる」。失敗率の高さは、戦略のコストなのです。

このやり方は一次市場では問題ありません。リアルタイムで価格がつかず、負けた側の損失があなたに直接は響かないからです。しかし二次市場は違うのです!あなたが買う1銘柄ごとの価格には、市場の「みんなの信じる気持ち」が織り込まれています。その信頼が揺らげば、時価総額400億の会社が数四半期で20億に蒸発することもあります。この損失は現実のものです。別の「100倍株」が穴埋めしてくれることはありません。

では、なぜ2020年は彼女が勝てたのか?それは極めて稀な特別な窓だったからです。ゼロ金利、パンデミックによるオンライン化の加速、そしてAIなどのセクターで“勝者”がまだ姿を現していなかったこと。答えがない混沌という状態が、ちょうどVC式の“網を広げる”戦い方に合っていました。彼女が勝ったのは「いま答えがない」ことではなく、「答えがあると思わせる瞬間に当たった」からです。けれど、彼女はそれを本気で信じてしまいました。

いちばん皮肉な部分がここから来ます。AI時代は本当に到来し、NVIDIAの時価総額は3万億にまで到達しました。木頭姐は2014年からAIを叫び続けており、最も早い信奉者の一人でした。それでも結果はどうだったのでしょう?AI時代の“回収(実現)”の仕方は「勝者総取り」です。NVIDIAがほぼすべての利益を独り占めし、さらにMicrosoftやMetaといった巨大な大型株にも広がっていきます。

そしてまさに、この点が木頭姐にはできなかったことです。もっと胸が痛むのは、彼女が初期にNVIDIAを買っていたこと。2014年には、ゲーム用グラフィックカードの会社として買っていたのです。もしずっと持ち続けていれば、これは彼女にとって最も偉大な投資になっていたはずです。

でも彼女は持ちこたえませんでした。2022年末、NVIDIAが大きく下落したときに彼女は売り始め、2023年1月に完全に清算しました。理由は「NVIDIAは周期性が強すぎて、十分に覆せない(イノベーションとしての破壊力が足りない)」というもの。その後ChatGPTが世界を爆発させ、NVIDIAは彼女が清算した地点から一気に3万億まで時価総額を伸ばしました。メディアは、彼女が少なくとも12億ドルのリターンを逃したと計算しています。

彼女の投資の方法論は「勝者を選ばず、セクター全体を買う」ことです。ですが勝者はすでに手元にあったのに、彼女は自分の方法論のせいで勝者を自ら売り払ってしまい、その代わりに中小型の企業を買いあさったのです。

さらに、彼女の「毎日公開する保有銘柄」方式は、規模が小さいうちは加点要素でしたが、規模が500億になると災難になります。

彼女は市場で最大の“看板(明らかな答え)”になり、皆が彼女の売買を見張り始めます。彼女が動く前に市場が先に動き、彼女はハンターからハンターの獲物に変わってしまいました。

加えて、彼女の「反コンセンサス(反共通認識)」というキャラクター設定が、逆に彼女の認知の足かせになっています。初期のころは、反コンセンサスが当たるたびに「コンセンサスは間違っていて、私は正しい」と固く信じられました。ところが2022年から2023年にかけて、市場のコンセンサスは大口ブルーチップであり、つまりNVIDIAでした。今回はたまたま、そのコンセンサスが正しかったのです。彼女は「今回は間違っていない」という事実を受け入れる“心の余裕”を失ってしまいました。なぜなら、もし彼女がコンセンサスを受け入れてNVIDIAを買ってしまえば、ファンは「変わった」と言い出し、物語はもう続けられなくなるからです。

物語の結末は、輪廻のようです。2026年の初め、彼女はまたおなじような操作を始めます。RokuとShopifyを売り、資金を遺伝子編集のセクターに投じて、再び産業チェーン全体を買い戻すのです。

彼女はまた未来を当ててしまうかもしれません。ですが「判断が正しい」と「本当に儲かる」の間には、遠い距離がある。その距離は、ときに“タイミング”と呼ばれ、ときに“構造”と呼ばれ、ときに“性格”と呼ばれます。

この物語は私たちに教えています。どんな“神”も信奉するな。もっと大事なのは、自分に合わないゲームに、負けが確定しているルールで、全てを賭けるな。$PIPPIN
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